斜陽の窓辺

多くの人の目に触れると都合の悪い人生。

〜6年生-2

こんなカメムシの体液をグミにして口の中に放り込んだような日々を打破しようと、ドラマで観たようなシーンを演じてみせた。


昼休みには半数以上が校庭へ遊びに出る中、数人の生徒が教室内に残って疎らに集まって話をしていた。私はドキドキしながら教室の窓際に立ち、大声で叫んだのだ。


「みんなっ!聞いて聞いて〜!」


何事かと二、三人が耳を傾けたかも知れない。

特に何もネタはなかった。

何かどうでも良いようなことを喋ったかも知れない。

その後のことは何も憶えていない。

近くにいた数人と教室内に散り散りに居たクラスメイトがサーっと引いて行く音が頭の中で響いた。

私には何も言わず、またヒソヒソと。


「こいつ、いよいよ狂った」と思われたかも知れない。

自分ではわからなかったが、本当にそうなのかも知れない。人が狂う時「あ、いま私、気が違っちゃった」と自覚をするだろうか?

少なくともこの時は気付くことができなかった。


もう一つ憶えている。

あれは、卒業制作か何かを作ることになった時だ。誰が何を担当するかを決める。やりたい人が定員オーバーだった場合はクラスの投票で誰にやってもらうか決めるというのだ。

やはり、凡そ狂っていたのだろう。

今度は泣きながら大声で叫んだ。


「私はみんなに嫌われているのだから、投票で私がやりたい事をやれることなんか無いじゃないかっ!」と。

言葉の選び方は今とは違っただろうけれど、そんなようなことを泣きながら訴えたのだ。


頭が悪くて見た目も酷くクソミソで。そのうえ狂っている。

そんな私の姿を見たクラスメイトにとっては、取り留めのないほどの地獄絵図を見せられているようなものだ。

これはもう虐める以上に祟られる。

そんな雰囲気だったかも知れない。

この様子に危機感を持ったクラスメイトがいたのかも知れない。

ある時、私に対する虐めが白日の下に晒されることとなった。