斜陽の窓辺

多くの人の目に触れると都合の悪い人生。

〜6年生-5

この程度のいじめ経験でも、そんな罪を犯した子供を許さない権利はある。許さないからずっと苦しむ。苦しんでも良いから許したくはない。 私はいずれ訪れる死の淵でも、いじめ主犯を「今でも許さない」と言うだろう。 できれば不幸に不幸を重ねた人生を送っ…

〜6年生-4

その日も、いつもと変わらず教室の中はどんよりと薄暗く、クラスメイトの声は遠くで微かに聞こえるようなヒソヒソとした音だった。静まり返ったクラスに私一人立たされていた。 私の席は廊下側の前方だった。 窓側の後方には、いじめている女子の主犯数名の…

〜6年生-3

この記憶は五年生の記憶かも知れない。 いつだったかなんて、もうどうでも良い話なのだけれど。 北側の校舎の二階あたりだった。 教室ふたつ分くらいの広さの図工室がある。 その隣には小さな部屋があり扉ひとつで図工室と繋がっている。 教室の1/3もない広…

〜6年生-2

こんなカメムシの体液をグミにして口の中に放り込んだような日々を打破しようと、ドラマで観たようなシーンを演じてみせた。昼休みには半数以上が校庭へ遊びに出る中、数人の生徒が教室内に残って疎らに集まって話をしていた。私はドキドキしながら教室の窓…

〜6年生-1

学校には農家の子供も何人かいて、その子たちはとてつもなく広い家に住んでいた。いつだったか、その農家の家の広間で学年の学芸会のようなものが開かれた。私のグループでは演劇を披露することになった。役柄は主人公と普通の役と嫌われ役が用意されていた…

〜 5年生〜-3

※〜6年生-1の見出しのみ修正しました。修正前に読んでいただいた方、中身は同じです。4年生〜5年生〜6年生の記憶は歪んだ時空を行き交う景色と音と匂いと息苦しさの記憶。教室には一日中陽の光が入らず、記憶にある雰囲気はジメジメとして人の声がヒソヒソと…

〜5年生〜 -2

先週の出来事から生き延びてしまいました。小学校には渡り廊下がある。中庭側は窓で埋め尽くされ陽が差し込み明るい廊下である。表側には図書室や音楽室があったような気がする。まだ学校が地獄ではなかった時期、クラスメイトと一緒に紙飛行機を作って、こ…

〜5年生〜 -1

4年生〜5年生〜6年生まで時間軸が拉げていて、どの学年の記憶なのか不明瞭だけれど、5年生〜卒業までの担任だけは強烈に記憶している。担任のU先生は無精髭に薄く色の付いた眼鏡をかけて、チンピラがクマの着ぐるみを着たような、何だか変わった男性だった。…

4年生〜

小学校高学年。父親に連れられて父の知り合いと会った記憶は、この時期だった気がする。その人は「お姉ちゃんは色白なのに妹は色黒なんだねぇ」と言った。父親は「こいつは垢が溜まってるから色が黒いんだよ、なぁ」と私の同意を求めた。服を買いに行った時…

幼少期〜小学校1年生

幼稚園には幾つから通っていたのだろうか?近所の子らと一緒に送迎バスでK幼稚園まで通っていた。この幼稚園のトイレも和式トイレで、胸から膝までの自由蝶番で取り付けられた扉があり、しゃがむとお尻が丸見えになる。なかなかのハラスメントだったこのトイ…

幼少期-1

私の住んだ土地の中で最も古い記憶に刻まれている場所は、小学二年生の夏まで過ごしたC県M市N町だ。そこはT工業という大きな鉄工所の隣に設けられた土地で、コの字型に5区画の住宅が建てられていた。その一番奥の突き当たりが私の家族が住む家だった。二階建…

3年生-4

小学生が習う常用漢字は、私にとってかなりのハイレベルだった。漢字練習帳に何度も同じ漢字を書いていると、感覚が麻痺してくる。正しく書こうとしても手が勝手に、似ているけれど違う漢字を書き出す。この感覚が何とも気味が悪い。勉強が苦手な私の典型的…

3年生-3

今はどうなっているのか見当も付かないが、当時は学校から自宅までの道のりの殆どが畑道だった。そんな畑道に住宅が数軒立つようなエリアが点々とあり、学校にほど近い住宅の向かいに公園でもない駐車場でもない小さな空き地があった。 そこには石でできたゾ…

3年生-2

今思うと、あのギョウ虫検査が二つ目のターニングポイントとなった気がする。が、それに気付くのは35年ほど経ってからだ。(一つ目はまた別の機会に…)兎にも角にも、私はまだ無邪気さを残していた。家から学校までは徒歩30分くらいだったように思う。指定の…

3年生-1

三年生になる年、引っ越して来た住所の学区内に新しい小学校が建設された。小学校はこれで3校目だった。クラスの男子と牛乳の早飲み対決をして鼻から噴き出したことが記憶に残っている。なんとも子供らしい無邪気な馬鹿っぷりである。何故かこの頃から、鼻水…

2年生

引っ越して来た。多分、2年生の夏休みが終わってから別の小学校へ編入したんだ。その小学校では何人かの小人が居るとか、理科室のホルマリン漬けの標本が動き出すとかそんな噂があって、学校全体が何だか不思議な雰囲気の記憶に塗り替えられている。校門の前…

さて、何から始めましょうか。

45年間の何の役にも立たない膨大な記憶をここに仕舞っておこうと思っている。失ってしまったいくつかの記憶も出来るだけ拾い集めてここに並べよう。そしていつかここにある全ての記憶が消えて無くなるように祈ろう。あの時、私を救おうと立ち上がってくれた…