斜陽の窓辺

多くの人の目に触れると都合の悪い人生。

幼少期〜小学校1年生

幼稚園には幾つから通っていたのだろうか?

近所の子らと一緒に送迎バスでK幼稚園まで通っていた。

この幼稚園のトイレも和式トイレで、胸から膝までの自由蝶番で取り付けられた扉があり、しゃがむとお尻が丸見えになる。

なかなかのハラスメントだったこのトイレに入ると、屈んだ状態で教室内が見えるため気になって外の様子を伺いながら用を足した。


幼稚園にはお弁当を持って行った。

冬はストーブの上に乗せて温めてくれるので、皆アルマイトのお弁当を持って来ていた。


誰もがそうだと思うが、お弁当を食べ終わると午後は必ず急激な眠気に襲われていた。

しかし寝るわけにはいかない、ということは理解していた。

この現象には散々悩まされていたが、ある時フッとこの眠気に勝つ方法を思い付いてしまった。

瞬きは目を瞑って開いての繰り返しだ。 

この目を瞑っている時間を長がくすることで、その時間だけ眠ることができる。

周囲はまさか寝ているとは気付かないだろう。

絶対にバレることなく眠れる完璧な方法だった。

そして、ある日の午後お遊戯会の練習場へ向かう廊下でこの方法を実施した。


完璧な方法はおデコにタンコブを作ることで終焉を迎えた。

自分の実施した方法で起きた事故だったことが恥ずかしくて、痛くて泣きたいのを我慢して澄ました顔をしていたが、この方法はたった一回で永遠に封印したのである。


2年生の夏まで通った小学校の思い出は殆ど残っていないが、唯一強烈に記憶している出来事がある。

朝は恐らく姉と一緒に登校していたのだろう。

下校は時間が異なるせいか、近所の男の子と校門の前で待ち合わせして仲良く帰っていた。

ある日の日曜日、母が一階の和室で昼のメロドラマを見ていた。

その後ろでパンダちゃんのぬいぐるみと遊んでいた私は何となくテレビの画面に目を移した。

そこには女性と上下白の服を着た男性が登場して何かを話していた。

当然、話の内容はわからなかったが、何故かその男性が凄く気持ちの悪いキャラクターで嫌な気持ちになった。

翌日、学校の帰りに校門の前で男の子を待っていると、いつものように走ってやって来た。

全身白の服装で。

その姿にかなりのショックを受けた私は暫く思考停止の状態だったが、途中の坂道で我慢が出来なくなり、いきなり叫んだのである。

「もう、一緒に帰ってあげないんだからね!!!」

そして、その男の子の反応も見ずに全速力で自宅まで走り去った。

男の子からしたら、もう何が何だか分からず突然に嫌われたのだから堪ったものではない。

しかも理由がとんでもない濡れ衣である。

それから間もなく引っ越すことが決まり、その子とはそれ以来一度も会っていない。

訳もわからずいきなり嫌われてしまった男の子の気持ちを思うと本当に申し訳ない気持ちになるが、相手が私なら何が起きても不思議ではないのだ。


この頃から、ちょっとアレな感じの片鱗はあったのだろうか。

子供はこんなものだという意見はよく聞くが、その中に本当の方のアレな子供が居るとは誰も気付かないのだ。



2017年もあと2日で終わります。

この一年、思い出したら恥ずかしいことも腹が立つことも自分が正しいと思い込んで他を否定するような哀れな人の相手をしてきた人も、多くのストレスが矢のように降り注いだことでしょう。

それでもジッと自分の足元の土を耕して来た人が多くを実らせ収穫できるような豊かな人生を過ごすことを信じています。

来年も他者を気にせず自分だけの大切な土を耕していってください。

ここに来ていただいた方が実り多き良い一年でありますように祈っています。